JR土讃線で高知駅から小村神社前駅まで輪行。1両しかない気動車で西へ、高知駅からこんなに近いところに日本で一番きれいな川があるというのだから、それは行かねばなるまい。
伊野駅で下車することも考えたけれど、小村神社前駅だと名越屋沈下橋まで川の右側(河口に向かって)を走れるので、帰りには左側で帰ることにした。この道は車が一台しか走れない幅しかなく、途中には小さい集落と産業廃棄物処理業者があるだけで、後はウグイスなどの鳥たちと蛇がいただけの田舎道。片側は仁淀川で、もう片側は山。この山から幾筋も水が流れてきていたし、時々空気が冷た居場所もあって自然を肌で感じることができた。とはいえ、1人っきりで走るのは多少怖さもあった。集落の道端でおばあさんが2人いると思ったら、移動販売車が来るのを待っていたようで、ちょうど車がやってきた。この販売車が来なかったらここの人たちは困るのだろうな。
いよいよ名越屋沈下橋に到着。わざと少し行き過ぎて写真撮影。BROMPTONで走ってみると結構怖い。沈下橋は川が増水した時に橋の欄干に木などが絡んで橋が壊れることがないように、はじめから欄干がない橋のこと。京都には流れ橋というのがあったけれど、あれはあれで「流れた」後の修復が大変だろう。こちらの方が合理的(?)
高知駅で購入した弁当を食べていると、「どうやってここまで来たんですか?」とたずねられ「輪行です」とこたえると、納得されていた。その人はSTRADAを持っているらしく、今度輪行してみますと言っていた。少し前にNHKで「カゲロウの羽」というドラマをみたが、まさに仁淀川、それも沈下橋が重要な意味を持っているドラマだった。前後して同じくNHKで仁淀川の特集もあり「仁淀ブルー」と言われる美しさがあるということを知っていたので、仁淀川の沈下橋には早く行ってみたかった。
橋を渡って片側1車線の道をさらに上流にむかうと、下り坂なのに向かい風でなかなか進まず、その内に「水辺の駅 あいの里に淀川」に到着、トイレ休憩。ここではカッパの着ぐるみを来た人がよってきて「これはブロ、、ブロ、、、ブロ、ン、プトンとかいう、、」「そうです。ブロンプトんです。よくご存知ですね。」「知ってはおったけんど、こんな近くで見るんは始めでじゃ」という会話。折り畳んで持ち上げて「意外と重いな」と。彼はパナソニックの折りたたみ自転車を持っているそうだ。何とも人なつこい人が多い。本当ならこの日から仁淀川を観光遊覧舟が出るはずなのに、雨で増水したために中止になってしまったとカッパさんが教えてくれた。
高知名物アイスクリン150円を食べてから今度は河口に向かって、追い風の力を借りつつ走り、「道の駅土佐和紙工芸村くらうど」にたちより、和紙でできた皿とコースターを購入。ドラマで見たような、きれいで、強い和紙がたくさん販売してあった。壁掛けにしても良いようなものだった。合計400円なのに、包装紙の和紙の方が上等にみえて申し訳なかったかも。
そしてさらに河口に向かい、仁淀川大橋の手前で信号待ちしていると河原でイベントをしているではないか!これは「第18回 仁淀川紙こいのぼり」だった。川に、紙製の鯉のぼりを泳がせる、だけ。それが素晴らしいのだから、かなわない。この後、かんぽの宿伊野で温泉(500円)に入って、今度は高知市内までBROMPTONで岐路についた。
土佐電の路面電車が道の端を走行するところでは自転車は路面電車と車に挟まれたところを走ることになる。しかもこの路面電車は片側交互通行だ。路面電車とほぼ同じ速度だったようで停留所の度に抜きつ抜かれつするのでたちが悪かった。沈下橋といい、路面電車との並走といい、安全性軽視といえばそうかもしれないが、自由(民権)というか、自己責任の県民性なのかもしれない。
走行距離は約35キロメートル。豊かな自然の中で、ごく自然に楽しんでいる人たちを多勢見た日だった。
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