冬 春 と文庫化されて、夏 そして 秋も文庫化された。
夏 のあとがきは3.11以降に加筆されていた。野球部を引退した高校生の少年の話である「終わりの後の始まりの前」について、「でも、いつか、僕たちは歩きだす。『終わりの後の始まりの前』を生きる。生きていこう。生きていかなければならない。『終わりの後』を持ち得なかった何万人ものひとびとのためにも。」とあった。
重松清は、岡山県で生まれ、鳥取県、山口県で育って上京した。1963年生まれ。・・・とても親しみが持てる。素晴らしい作品が多いし教育に関連した話題が多いが、「いとしのヒナゴン」が一番好きかもしれない。最初に買ったのは当時新刊だった「日曜の夕刊」だったと思う。「ナイフ」「エイジ」、、、。
最も多いのは、40代のオヤジとその家族が都会のベッドタウンに住んでいて、オヤジや子供の生活の中で起きる物語。40代の子供の頃はウルトラマン、その後は矢沢永吉、キャンディーズ、大学時代は勉強せず、そして今は管理職になって、おなかが出てきて、子供との会話が減って、親が年をとっている。そういうシチュエーションで、ストライクゾーンど真ん中に投げ込んでくる小説は、「またか」とおもいつつ、でも読んでしまう魅力がある。応援歌でもある。「季節風 夏」でも子供が大人に対して抱く気持ちや、ものの見方など、「あ、そうだった。かも。」と思わせる描写が実に上手いと思う。「そうそう」と思いたいから次の本に手が出る。
3.11の犠牲者にも「そうそう」が、それぞれにあったに違いないし、まだまだあったはず。
「季節風 秋」も買ってしまった。